通常、「原因不明」「治癒不能」などと診断されるケースでも、既存医療とは異なる枠組みによれば、「原因の特定」が出来るようになったり、「治癒可能」と
なるケースがあります。
つまり、既存医療とは違った視点を持った枠組み(これ故、「代替」医療や「補完的」医療と呼ばれます)によれば、理解不可能だとさ れたものも、理解可能になることもあるのです。
経験を積み重ねて熟達したお医者様もいらっしゃいますが、一般的に医学で採られているアプローチは、まずその「病気」に診断を下して、その診断に沿った治療を行うこととなっています。つまり、クライアントが持っている悩みや症状に対して、既存医療の「枠組み」にはめ込むところから始まっていると考えられます。
これを私は「仕訳け(pigeon holing)」と表現しています。郵便局で投かんされたハガキを一枚一枚送り先の地域別の小さな箱に入れていくように、または、多くのハトを壁に並んだハトの巣穴に入れてくように、そこにあるもの(クライアントの症状)を分類していく訳です。
しかし、この既存医療の「枠組み」は唯一のものではありません。
中国医学ではまったく別のアプローチが採られていますので、違う仕訳が行われて、違った治療が行われます。アーユルベーダでは、既存医療とも中国医学とも違った仕訳が行われます。
クライアント一人ひとりの状態を、出来るだけ大きくとらえて、全人的(ホリスティック)に見ようとすればするほど、このような「仕訳」や「分類」は難しくなってきます。つまりまったく同じ人は二人といないために、分類する箱が人の数だけ必要になるからです。
周囲の人への影響や、同じ人についても時間の経過による変化を考えると、この作業はさらに複雑になっていきます。
つまり既存医療で仕訳ができなかったために「原因不明」だとされたとしても、あるいは、既存医療の仕訳によれば「治癒不能」だとされたとしても、別の枠組みにおいては同じ結果になるとは限らないのです。