男女のコミュニケーション

これまで男心について、何度か書いてきましたが、ここでちょっと関連の話題を。

男性は、強がること、感情を出してはいけないこと、リーダーシップを取らなくてはいけないこと、などの社会的・家庭的刷り込みを受けているという話を書きましたが、コミュニケーションの方法について。

Jeanne Elium & Don Elium という夫婦の書いた本に、"Raising A Daughter"というのがあります(www.amazon.co.jp/Raising-Daughter-Parents-Awakening-Healthy/dp/1587611767)。これは"Raising A Son"という本の続編で、後者は大きなベストセラーになった本で
す。

要するに息子・娘をどうやって育てたらよいかということですが、そこに興味深い夫婦の会話の例が載っています。

妻: あなたは家のことは何もしてくれないだから!
夫: どういう意味だい?! 台所の洗い物もしたし、子供たちの出迎えもした。庭の芝刈りだってしたじゃないか!
妻: また始まったわ。手伝いをしたから表彰してもらいわけね!
夫: 別に表彰して欲しいわけじゃないよ。君が僕が「家のこと」を何もしないって言ったからさ!
妻: (ため息) 「家のこと」じゃないのに
夫: 「家のこと」じゃないなら、なんで僕が何も「家のこと」をしないって言ったんだい!
妻: あなたは私の話を聞いてくれないの。いつもいないんだから。
夫: どういう意味だい?? いつもいないってのは?週末を過ごそうと思って金曜日は休みにしたじゃないか。忙しかったから出来なかったプロジェクトに取 り組んでいたのに……。(顔を上げてみると、妻はどこかに行ってしまい、そこにいない)


ここで著者たちが言いたいのは、女性のコミュニケーションは「共有したい」という部分が大きいのに対し、男性のコミュニケーションは「問題解決」指向だということみたいです。

共 有したい、わかって欲しい、自分の感じたものを表現したい、などの比較的循環的コミュニケーションと、何が問題なのか?どうすれば解決できるのか?論点は 何なのか?といった直線的なコミュニケーションが、すれ違ってお互いに会話にフラストレーション、失望、怒りを感じて終わってしまったようです。

同じようなことは、時々感じることがあります。これは別に女性が100%そうだ、男性が100%このようなコミュニケーションをする、ということではないです。同じ人でも、その人が流している男性エネルギーと女性エネルギーの割合によって、瞬間瞬間変わってきます。

ここで、肉体的に男性であっても、男性エネルギーと女性エネルギーの両方を持っており、状況などにあわせて両者の割合を調節していることは注意が必要かも知れません。

逆に言えば、その瞬間に自分がどのようなパーセンテージの男性エネルギー、女性エネルギーを流すのかは、完全に自由に選択できるということでもあります。

男性エネルギーというのは、感じてみるとわかりますが、決して暴力的でも攻撃的なものでもなく、広く穏やかな海のような、包容力に満ちたエネルギーです。

そして、女性エネルギーは、実はきわめて強い、愛に満ちたエネルギーです。

もし、夫婦間に限らず、異性とのコミュニケーションでフラストレーションを感じたら、自分がどのようなコミュニケーションをしているのか、少し見直してみてもよいかも知れません。

無理やり相手に合わせる必要はないでしょうが、自分のエネルギーのレベルをチェックしてみることは、有益だと思います。


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男女のコミュニケーション、関係性をよくするために、一つのテクニックがあると思うのですが、それほどたくさんの例を集めたわけではないので、まだ検証していきたいと考えているところです。

それは、女性が自分の女性性を解放することです。

女性エネルギー男性エネルギーというのがありますが、肉体は男性でも両方を流しています。その割合が違うだけです。

男性の肉体は男性エネルギーを多めに流しているとバランスがよくなりやすく、女性の肉体は女性エネルギーを多めに流しているほうがバランスがよいのです。

そこで、自分がどのくらいの女性エネルギーを流しているかを観察して、それを気持ちの良い範囲で高めてあげるのです。

男女の関係というものは、本質的には女性が主導権を握っているもので、その女性が自分の女性エネルギーを高めにしてあげると、相手の男性は男性エネルギーを高めることが出来ます。それが二人の関係性を良くする傾向があるみたいです。

男性が自分の男性エネルギーを高められないでいると(それは男性自身の問題かも知れませんし、二人の関係において、女性が流している女性エネルギーが低い、男性エネルギーが高いからかも知れません)、男性は容量が小さくなり、怒りだしたり、暴力的になったりする傾向が強まると思われます。

男性が本来の男性エネルギーのバランスを取り戻してくれば、前述の通り、本来の男性エネルギーが表現され、それはとても穏やかな海のような暖かいエネルギーなのです。

女性が女性エネルギーを流していると、相手の男性は安心して(これが深いレベルで恐怖を感じている男性にとってはとても大切なことなのです)、素直になり、かつシッカリしてきます。

もともと現実的な・物質的なところに強い男性がシッカリすれば、物質的な枠組みも安定してきますので、外的に不安定さが減ってきます。

もともと男性が暴力的になる一つの要因は、この安心感が不足しているところにあるように思います。これで全部説明できるほど、現実は単純ではないですが、一つの要因だと考えています。

じゃあ、女性が女性エネルギーを高める(或いは自分にとって心地よいバランスを見つける)ためにはどうすればよいか? これはまた考えてみたいと思います。

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ある男性が夜中に妻から起こされて

夫: なんだ、どうした?
妻: ベッドを独り占めしないでくださいな
夫: そりゃ、すまん
妻: あなたときたら、いつだってそうなんですから
夫: なんだって?
妻: いつだって割を食うのはあたしだって言ってるんですよ
夫: ちょっと待った。わたしは眠っていたんだよ。お前はわたしが眠っているときの行動にまで責任をとれというのか
妻: それじゃ言わせていただきますけど、この前だって……


男女間のコミュニケーションの一つの形だなーって思いました。これは「You Just Don't Understand - Women And Men In Conversation by Deborah Tannen(邦訳: わかりあえない理由 デボラ・タネン著 田丸美寿々訳 講談社)」に載っていたものです。

男性的コミュニケーションは解決を示しますが、女性的コミュニケーションは共感と理解を求めているとされます。

つまり、この夫はベッドの領域の話だと考えているので、「あなたはいつだってそう……」という発言は唐突なものを感じています。

一方、妻のほうは寝る場所を取られているのは、普段から自分がされていることの一部にすぎないのです。もし普段から夫が妻の気持ちを感じ取ってあげていたら、このような会話は起こらなかったかも知れません。

これは一つの例ですが、男性的コミュニケーションは直線的・問題解決型です。それに対して女性的コミュニケーションは循環的・親和共感的

女性的コミュニケーションにおいては、相手に共感を示すことが重要で、そのためには自分も同じような経験をしたことを話すとか、相手の気持ちがわかるということをハッキリと示すことがよいと思います。

そのためには、相手と同じ立場、視線にいることが大切で、相手の意見を否定したり、上から物を言うような態度をとると、相手は拒絶された、理解してもらえなかったと感じることになります。

また、話をしている時も、相手の正面にいて、相手の顔・目を見ることで、共感を伝えることが出来ます。

相槌についても、「うん、うん、わかるよ、その気持ち」や「まったくそうだね」と頻繁に言葉をはさむことが大切です。

でも、世の中の男性はこれを苦手に感じていることも少なくないようです。というのは、男性的コミュニケーションにおいて、相槌はしばしば相手の意見に同意していることを示すからです。

男性的コミュニケーションは非対称的になりやすいものですが、例えば自分が相手より下にいるのか、それとも上にいるのかを常に意識してしまいがちのようです。

私の経験でもそうですが、例えば相手の意見に同意することは、自分の立場を下にする「危険」を含むものですし、不案内な場所で道を尋ねることも、自分の弱みを見せる(=自分が下になる)と意識します。だから、男性は道に迷っても道を尋ねたがらないことが多いのです。

そんな風に考えながら生活しているなんて……と感じられるかも知れませんが、その側面が強くなることはあるのです。

残りは後に譲りますが、ここで大切なのは、「男性的コミュニケーション=男性のコミュニケーション」ではないということです。同様に「女性的コミュニケーション=女性のコミュニケーション」でもありません。女性であっても、男性的コミュニケーション・男性的エネルギーが強く出ることもありますし、逆もまた真です。ただ、本来、肉体の性にかかわらず、誰でも持っている男性性・女性性のエネルギーに由来するものということです。

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男性的コミュニケーション、女性的コミュニケーションについて、前に書きましたが、要するに自分のコミュニケーションの癖を知って、出来ることなら両方を適宜使いこなすことが出来れば理想的だと思います。

少なくとも、相手が今どちらのコミュニケーションをしているかを意識して、そのベースで相手の行動・発言を理解しようと出来たらいいなと思います。

いくつかの傾向として前述の本(You Just Don't Understand - Women And Men In Conversation Deborah Tannen わかりあえない理由 デボラ・タネン著 講談社)にあげられているものを挙げてみます。どれもこれも心当たりがあります。特に男性の傾向について思ったことを書いてみます。

なお、ここで男性・女性と書いてあるのは本の表現に従ってまでで、個人的には男性的・女性的コミュニケーションの方法ということで、肉体の性とは限らないと考えています。


・ 会話は男性にとっては情報のやり取り、女性にとっては心のやり取り

確かにそのような側面はあるだろうと思います。というのは、男性は「重要(だと思われること」をやり取りすることを意識し、重要ではない(と思われる)ことは重視しない傾向があるように思われるからです。ただなんとなく話している井戸端会議的なものは「重要」だと思っていませんし、自分が口を開く時には何か重要なことを言おうとしていると思うからです。

ですから、男性にとって「些細なこと」について女性が懸命にわかって欲しいと思っても難しいということになります。

また、男性の口数が少ないとしても、それは「重要なこと」でなければ話さない、更に言えば「重要でないこと」を話すのは自分が重要なことを話すことが出来ないという弱みになる、あるいは「軽口をたたくのは女々しいこと」という思い込みがあるのかも知れませんので……。

・ 女性は共感を求め、男性は解決を示す

女性が相手に自分の気持ちをわかって欲しいと思っても、あるいは何か多くのものを共有したいという気持ちから色々な話をしても、男性は、それを重要だと思わない、あるいは、すぐに出口・解決策を提示したがる傾向はあります。

ですから、女性が話し始めてすぐに「〜したらいいじゃないか、明日予約してあげよう」と男性が言ったとしても、それは女性に対する親和から出てきているので、決して女性の話を聞いていないということではないと思います。女性にとっては共感を得られないのでフラストレーションが溜まるでしょうが。

他方、男性側から見れば、女性の色々話してシェアしようという話し方は循環的で、次々に話題が変わってきてしまうので、フラストレーションを感じることになります。「結局何がいいたいのか? もう問題解決策は話したのだからなぜ同じ話が続くのだろうか?」と感じても不思議ではないです。

・ 女性は、相手と共通体験を話すことによって互いの類似性を強調する

対称・対等な関係を意識する女性にとっては、相手との類似性を強調することは安心なのだと思います。他方、男性は相手との類似性を強調するよりは、潜在的には問題解決策を提示したり、相手の悩みをそれほど大きな問題ではないというアプローチで相談に乗るほうを好む傾向はありそうです。

・ 男性は地位を意識して話を聞くが、女性は序列を気にしない

男性が常に地位を意識しているというのは、意外に根深いものがありそうです。前述の男性は迷っても道を聞かないということもそうです。

・ 男性は会話で相手に尊敬されることを求め、女性は好かれることを求める

これは本質的に男性が上下を意識するからでしょう。自分の弱みを打ち明けることは自分を弱い立場に置くことになるので、よほど何かないとまずしません。

・ 女性はプライベート・スピーキング、男性はパブリック・スピーキング

つまり女性は1:1のプライベートなスピーチを得意とし、男性は1:多のパブリックなスピーチを意識しやすいということかと思います。普段は口数が少ない男性でも、人の前に出ると積極的に発言することは少なくないと思います。

・ 男性はパブリックなニュースを追い、女性はプライベートなニュースを追う

これは男性にとってパブリックなニュースのほうが重要だと感じるからでしょうか。社会とのつながりと、そこでの自分の位置を常に確認していたいからかも知れません。

・ 男性は機会があれば薀蓄を話したがる

これも自分を優位にしようとする動機に関係しているように思われます。また、合理性・論理性・パブリックな情報に関心が強い男性は薀蓄を話したがります。

・ 女性にとって、秘密(自分の、あるいは自分の周りの人間の)を打ち明けることはお互いの友情のあかし

親友とは出来るだけシェアしよう、シェアしないのは冷たいと感じる女性にとっては、秘密を打ち明けないわけにはいかないのでしょう。

でも、

・ 男性にとって、相手の悩み事の細かいことを聞かないことは、相手の独立を尊重するひとつの方法

これは相手が悩んでいるとしても、それを話させてしまうと(男性の感覚としては)相手が劣位に置かれることになるので、それを避ける動機がありそうです。相手の独立を脅かしてはいけないのです。

また、他人の秘密はそれを打ち明けても自分の立場が優位にならないのであれば、何も手に入らないので、しようとしないことはあると思います。

何も手に入らないという観点から言えば、

・ 女性が会話で自分の持っている知識をひけらかさないのは、それをしても欲するものが手に入らないから

共通のものを増やそうと意識すれば、自分が持っている知識をひけらかしても相手との距離ができるだけなので、それをしない傾向はありそうです。

実際、グループで実験をした例があり、男性同士、女性同士、男女の2人のペアをたくさん作って、一つのテーマについて話をしてもらいます。ただし、その際にペアの一人だけに予めテーマについての知識をつけておくのです。実験前の予想としては知識を持っている人が話をリードするだろうと思われたのですが、男女のペアで女性が予備知識を持っている場合でも女性は知識を使わない現象が見られたそうです。

・ 女性は異論を唱えないで役割を果たし、男性は異論を親和のしるしだと考える

男性同士のコミュニケーションでは、異論と唱えることが比較的多いようです。特に親しい間柄なら「そんなことないよ」「あまり気にするなよ」という形で親和を表現することはあります。

前にも書きましたが、男性に対して脅威を感じさせない・地位を意識させないことは大切ですので、そのためには、座る位置にしても、相手の正面に座るのではなく、相手と並んでほぼ同じ方向に座ることも大切なようです。街のカフェから街頭を眺めているような、あるいは海岸で砂浜に並んで座りながら、海を眺めているように……。男性の場合、セラピーの椅子の位置を変えたほうがいいかも知れませんね。

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